料理を作る人にとって、目指すべき究極のゴールは、誰かが「美味しい!」と心から喜んでくれることではないでしょうか。ただ単に味が良いだけでなく、食べる人の価値観や状況に合わせて、最高の一皿を提供できる人こそが「美味しい料理が作れる人」。食文化の多様化が進む今日、各地で素晴らしい料理人たちが誕生しています。そこでその特徴を、酸化オジサン的な考察で少しずつ掘り下げてお話してみたいと思います!
料理に対する情熱と好奇心
料理が好きで好きで仕方ない――そんな情熱が、美味しい料理を作れる人のエネルギー源です。この情熱は単なる趣味の域を超え、挑戦心や創造力を引き出す原動力にもなります。
- 好奇心が止まらない
新しい食材を見つけたら「これ、どうやって調理しよう?」とワクワクしてしまう人。旅行先でローカルフードに出会ったら、自分のキッチンで再現したくてたまらなくなる人。そんな「知りたい」「試したい」という気持ちが、料理を進化させます。 - アレンジの魔術師
先ずは基本を知り、その上で「ここにスパイスを少し足したらどうなるかな?」「塩じゃなくて醤油を使ったら?」とより美味しくなる工夫を続ける人。何度も試行錯誤して、自分が考えるスペシャルに仕上げる工夫を求め続けてしまいます。
技術と知識の積み重ね
どれだけ情熱を持っていても、基本の技術がなければ料理のポテンシャルを引き出すことは難しいです。美味しい料理を作れる人は、地道に技術を磨き、食材への深い理解を持っています。
- 基礎がしっかりしている
どんなに豪華な料理でも、基本はシンプルな「切る」「煮る」「焼く」。包丁の使い方や火加減の調整、油の温度など、小さな積み重ねが料理の完成度を高めます。基礎をおろそかにせず、「当たり前」を丁寧にやり続けることが強みです。 - 食材を味方に
全ての食材に対して、「どんな調理方法が一番美味しくなるだろう?」と、食材に真摯に問いかけるような感覚があります。その結果、食材の魅力を引き出す思いが導く工夫が随所に現れます。
味覚・視覚のセンス
美味しい料理を作る人は、舌だけでなく目でも楽しませてくれる料理を作ります。「味の良さ」と「見た目の美しさ」は、実は切っても切り離せない要素なのです。
- 味のバランスを探る
塩加減や甘みの強さ、酸味のアクセントを考え、食べる順番や提供する温度も、出来る限り、また徹底して配慮し、「食べた人が笑顔になる!」という味を探り当てる努力を惜しみません。一口食べただけで心が躍るような味わいを作り出します。 - 視覚で楽しませる
盛り付けの工夫にも一切妥協しません。野菜を美しい角度で並べたり、ソースをきれいに引いたりして、食べる前から「美味しそう!」と思ってしまう視覚的演出の上に、美味しく食べる為や食べやすさを考慮した盛り付けの順番にも、優しさとセンスが光ります。
丁寧さと効率のバランス
美味しい料理を作る人は、どんなに忙しい時でも丁寧さを忘れません。それと同時に、効率よく作業を進めるための工夫も怠りません。
- 細かいところにも気を配る
食材の管理温度、包丁の入れ方、調味の仕方、調理の仕方、美味しい料理は細部への配慮が行き届いています。手間を惜しまず、一手間加えることをいといません。 - 清潔さが命
美味しい料理を提供するキッチンはキレイ(清潔)感が高いです。キッチンは料理人にとってまさにステージ。調理にも清掃にも、美味しい料理が作れる人のキッチンは全てが段取りよく配置され、全て使用後には定位置に戻って行きます。
経験と学びの連続
美味しい料理を作るには、やはり実践と失敗からの学びが不可欠です。
- 失敗を恐れない
「失敗は成功のもと」全ての作業にも、味付けにもたくさんの失敗をへて、美味しい料理が作れるようになります。そしてその経験の上に「味の再現性」が培われます。だから、美味しい料理を作る人は失敗を恐れません! - 新しい技術にもチャレンジ
スチームコンベクションオーブンなどの調理機器の進化と、真空調理、低温調理などの新しい調理法にも、トレンドを踏まえたメニュー開発への意識も高く、「今までやったことがないけど、試してみよう!」と挑戦する姿勢が、料理の幅を広げます。
基礎知識・経験(失敗)を経て身につける学問
料理は物理と科学。例えば仕込みに入れば時間と温度、そこに伴う劣化などを配慮し、それぞれに適切なタイミングを捉え、それぞれに適切な工程を並行して行い、全体の仕上がりを調整する能力(センス)を高めることを求め続け、失敗を恐れず、新しい技術にも挑戦する人が身につけられる学問。そしてそのような方々が美味しい料理を作れる人とも言えると思います。
食材へのこだわり
美味しい料理の要は、やはり食材です。季節感や鮮度を大切にし、素材の味を最大限に活かそうとする意識が高いです。
- 旬を楽しむ
食材の品質を目利き(見極め)をして、鮮度の良い食材にはその良さを活かし、鮮度が少し落ちても、甘味や旨味が増えたものにはその素材なりの良さを、旬のある食材には季節と共にその旬の良さを提供してくれます。 - 無駄を出さない
弱った食材もスープや煮物などに使うなど、食材に対して感謝の気持ちを持つ方々は自然と目利きも出来るようになり、結果として無駄を出しません。
愛情とおもてなしの心
料理の基本にあるのは、食べる人への思いやりです。その一皿には、食べる人を喜ばせたいという気持ちが込められています。
- 提供する方への思い
その日その時に一番喜ばれる料理を精一杯の気持ちを込めて提供します。満足感を高める為に、ちょっとした演出や工夫も欠かしません。 - 愛情たっぷり
ただ料理を作るだけでなく、そこに込める「愛情」が一番のスパイスです。この気持ちや優しさが、本当の美味しさに繋がると考えています。
まとめ
美味しい料理を作れる人は、料理に対する愛情と熱意を持ち、技術と知識をしっかりと身につけ、細部にわたる配慮、そしてそれらが実行出来る技術と速度によって美味しい料理を提供できる人です。
また、食材へのこだわりと同時に、思うように素材が量的にそろわない場合や、思う様なレベルの鮮度(品質)のモノがそろわない場合でも、柔軟に対応し、最善の料理を提供することができる人です。経験の積み重ねも大きな要素となります。一方で食材のロスに繋がる、美味しさの為の『ひと手間を惜しまない』人であるとも言えます。
そして、料理を作る方々の食べる方々への「愛」と食材への愛しみが、「本当の美味しさ」に最もつながるのではないかと考えています。このことはプロに限らず、家庭料理も、同じだと思います
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