こんにちは、酸化オジサンです!
肉を美味しく楽しむために欠かせない要素として、「鮮度」と「血抜き(放血)」があります。この2つは、肉の品質や風味、さらには保存期間にまで大きな影響を与える重要なプロセスです。今回は、これらの関係について、少し掘り下げてみたいと思います。
鮮度と肉の美味しさ
「鮮度」と「熟成」のイメージは「新鮮・新しい」と「少し時間が経過したもの・新しくない」として相反する事になりますが、実は鮮度が悪い肉では、良質な熟成が行えません。つまり、どんなに熟成の技術が進んでいても、熟成させる素材の鮮度はとても重要で、鮮度無くしては美味しい料理は生まれないのです。

鮮度を保つための2つのポイント
では、鮮度を保つために必要な2つの重要なポイントを見てみましょう。
- 迅速な処理
肉が屠殺された後、放血を含めた全ての処理を出来るだけ速やかに行い、冷却することが重要です。冷却までの前処理に時間がかかるほど、バクテリアも増え、腐敗を早めることになり、酸化も進行しやすく、そして何よりも肉の鮮度が落ち、品質も低下します。 - 適切な保存
肉は冷蔵または冷凍し、適切な温度で保存することで鮮度を保ちます。適切な温度管理が鮮度維持に必要なだけでなく、凍結時や解凍時にはその温度の伝え方(熱交換方法)も鮮度維持に重要です。
迅速な処理と冷却、適切な温度管理による保存の前作業として、特に重要なのが屠殺の方法です。そして更に重要なのが屠殺後に行われる放血(血抜き)なのです。
血抜き(放血)の重要性
肉の品質に影響を与える血抜きですが、ここではその具体的な理由をいくつかご紹介します。
品質への影響
- 保存性の向上(腐敗の抑制)
血液は肉よりもホルモンよりも栄養価が高いのです。その為、血液が残っていると、バクテリアを呼ぶといっても良いほど増殖します。そのバクテリアにより肉が加速度的に傷んで行くことにもなります。しっかり放血を行うことで、バクテリアによる腐敗を抑えることになり、保存期間が延びます。
見た目、風味、食感への影響
血抜きは、肉の「見た目」「風味」「食感」にも大きく影響します。

- 見た目の改善
血液が残っていると、肉の酸化変色(褐変)などが早くなり、見るからに美味しそうとは思えない状態に早くなってしまいます。しっかり血抜きをすることで、見た目にも美しさが維持できます。 - 風味の改善
血液が残ると、酸化により鉄分に匂いや腐敗臭や雑臭なども早く生じてきます。しっかり血抜きをすることで、風味がより維持しやすくなります。
参考:肉や魚の身に赤い点があるのは、打ち身による内出血なのです。この様な赤い点も見た目と風味を損ないますね。
屠殺と血抜き(放血)のプロセス
屠殺における重要なポイントは、「ストレスを最小限に抑えること」です。出来るだけ恐怖感や痛みなどのストレスが無いように可能な限り穏やかに、死を与えてあげることが大切です。以前にも案内しましたが生きている時に作られるATP(アデノシン三リン酸)というエネルギーが様々な死に向かう時のストレスにより「無駄に消費」されることになり、結果として死後硬直の解除も早まり、傷みやすくなります。
そして、屠殺後に放血(血抜き)を上手く行わないと、肉よりもホルモンよりも栄養価の高い血液がバクテリアも呼び込み、バクテリアによるダメージを早めてしまいます。
また、屠殺の最も望ましい結果は即死もしくは気絶中で、心臓がポンプとして機能している間にしっかり放血(血抜き)することが最善策となります。
まとめ
鮮度と血抜きは、肉の品質に密接に関連しています。その一番の理由は血そのものの栄養価が肉よりもホルモンよりも高い為、バクテリアの増殖速度も肉やホルモンより速いことにあります。よって、血抜きは肉の見た目、風味、テクスチャー、並びに保存性にまで大きな影響を与え、美味しさと鮮度の維持には不可欠なプロセスです。
また、鮮度が高い肉を得るためには、適切な血抜きだけではなく、その後の肉の分割などの作業や、包装、冷却まで、迅速な処理が重要です。これにより、肉の品質が向上し、熟成も可能となり、より美味しい料理を楽しむことができます。このことは魚についても同様です。血抜き(放血・活き締め)が食肉・魚肉に関わらず、最初の過程において最重要事項なのです。
余談ですが、血の高い栄養価を有効に保存活用するために、中国の緯度の高い地域や、フランスやイングランド・スコットランドでは、血を使ったソーセージや「ブラックプディング」「ハギス」などの加工食品を作り、貴重な栄養源として、伝統として、大切に食する文化が有ります。
この記事は役に立ちましたか?
気に入ったら、下記のボタンで教えてください。