DEPAKに魅せられた“酸化オジサン”のブログ

「おいしい包丁の使い方」と「火入れのコツ」

酸化オジサンが教えるおいしい包丁の使い方と火入れのコツについて解説します。名シェフの技や家庭で簡単にできる方法を学んで、美味しい料理を作りましょう。

おいしい包丁の使い方

美味しい包丁の使い方って…何でしょう?第一に、まず包丁がよく切れることが重要です。包丁がよく切れないと切られる細胞だけで無くその周辺にも力が加わり、押さえつけられる部分は…傷むのです。第二に、包丁の負荷に耐えられる鮮度であることが重要です。

つまり、美味しい包丁の使い方の重要なポイントは、①よく切れる包丁②食材の鮮度となりますね。
加えて裏技的ですが、マイナス5℃からマイナス1℃の温度(半解凍・未凍結)を利用すると、素材が硬くなり、カット(切断)面以外の細胞を壊しません。よって、こちらもおいしい包丁の使い方になります。

次に調理の中で最も重要なポイントである火入れについて考えてみましょう。

おいしい火入れ(名シェフの場合)

経験豊富な名シェフは、絶妙な火入れで食材を美味しく調理しますが、これは簡単に真似できるものではありません。

経験値が高く、手早く、感覚も鋭い、いわゆる名シェフの方々は驚くほどの手際で、しかも同時並行する様々な作業を行いながら、加熱調理と予熱調理を組み合わせて、場合によってはわずか1、2秒を考慮しながら絶妙な火入れをします。もしくは驚くほどの忍耐で、時間と気持ちを込めて表面と中心の温度差が可能な限り無い状態で火入れを行う名シェフもおられます。どちらのケースも本当においしいです。でも、これらは簡単に真似出来ませんよね。

おいしい火入れ(菌及び酸化対策編)

衛生管理基準として食中毒対策には、75℃以上1分間の加熱が必要とされています。これが火入れの下限となります。じゃあ、もっと温度を高く、長くすればよいのか・・・それでは、おいしい火入れとはなりません。なぜなら温度が上昇と酸化の進行は伴います。

(熱)酸化の進行スピードを時速に置き換えて例えると、

  • 30℃:1km
  • 75℃:20km
  • 90℃:60km
  • 100℃:120km

こんなイメージで、温度と共に加速的に酸化が進行して行きます。しかも、食物を含めた生細胞に影響する「熱酸化」のダメージ(細胞破壊)は100℃以下と100℃以上では極端に違います。最近注目されている「低温調理」とは、その熱酸化による細胞破壊を避ける有効な方法の一つです。とは言え、フライパンの温度や揚げ油の温度はそんな温度に出来ないじゃないか!と思われるかと思います。そのことは次で紹介します。

では具体的においしい火入れとはどのようなものでしょう。

誰でもおいしい火入れ(お湯の使い方編)

鍋料理を例に紹介すると、湯面がコトコト動く範囲までの加熱を上限と考えてください。コトコトなら、野菜はクタクタにならず、肉も硬くなりません。そうすれば、慌てずにおいしく食べられますし、最後の雑炊まで美味しくなります。逆にクタクタになった状態や硬くなった状態は熱酸化により素材が壊れてドリップ/灰汁(アク)が出た結果なのです。皆さん是非、お湯が蒸発せず、アクも出ない、温度を使い、そして差し湯をしない鍋を目指してください。美味しいですよ!もちろん、スープ、出汁、みそ汁も同じです。お楽しみください。

誰でもおいしい火入れ(揚げ物やフライパンの使い方編)

重要な前提が、火入れの前に食材の表面も中心も可能な限り温度を上げます
最低でも室温の25℃目安、キッチンなら40℃近くまで食材の温度を上げられます。
理由はフライパンや油との温度差が無いほど加熱調理時の食材への伝熱が上手くいきますし、熱酸化する温度にさらす時間が短く出来ます。そして、低めの温度で火入れして、かなり早めのイメージで一度上げて、余熱で火入れ、そして最後に仕上げの火入れ。このイメージで個々に時間を探って下さい。厚みでより時間が必要になります。

理想を言えば表面も中心60℃〜70℃です。ただしそれを行うにはスチームコンベクションオーブンや低温調理器(湯煎の温度管理ができる装置器具)が必要ですが、この様な事前に低温での火入れが出来ていれば、余熱での火入れを繰り返さなくても仕上げ調理だけで理想的な火入れが可能です。

まとめ

包丁の使い方と火入れのコツをマスターすることで、家庭でもプロ並みの美味しい料理が作れます。酸化オジサンのアドバイスを参考にして、日常の調理に役立ててください。

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